視覚障がい者のスポーツってどんなものがあるの?

視覚障がい者のスポーツには、以下の3つのタイプに大別されます。
@元々あるスポーツのルールや用具を視覚障がい者の特性に合わせて工夫したもの。
A視覚障がい者がプレーすることを想定し一から創作されたオリジナルスポーツ
Bルールや用具の変更がなく晴眼者とほぼ同じ形式で行えるもの 

@の例
 ブラインドサッカー(サッカー)、サウンドテーブルテニス(卓球)、
 サウンドテニス(テニス)、フロアバレーボール(バレーボール)、
 グランドソフトボール(野球)など
Aの例
 ゴールボール、スティックボールなど、
Bの例
 フリークライミング、フライングディスク、水泳、スキーなど

いずれも、聴覚など視覚以外の身体感覚を最大限に活用して行います。


1. ブラインドサッカー
視覚障がい者と晴眼者が共にフィールドに立ちプレーする、5人制
サッカーです。視力による有利不利をなくすため、フィールドプレーヤー
はアイマスクを着けて競技します。
ルールはフットサル(5人制サッカー)を元に考案されています。
音の鳴るボールを使用する、ディフェンスに入る際は「ボイ」という掛け声
を出す、「コーラー」と呼ばれる指示役(晴眼者)を相手ゴール裏に置くなど
の工夫で、複数名の視覚障がい者(もしくはアイマスクの晴眼者)が同時に自
由に動き回ることを可能にします。自由に動き回る楽しさを味わえるスポー
ツであると言えます。



ブラインドサッカーの様子


2. サウンドテーブルテニス
台上の球をラケットでころがすように打ち合う、平面でプレーする卓球です。
ネットと台の間には、球が通過できる程のスペースがあります。
鉛球の入った音の出る卓球ボールを使用し、ラバーの張られていないラケット
(打球音を明確にするため)で打ち合うなど、用具にも工夫があります。

サウンドテーブルテニスの様子ラケット(ラバーなし)と球(中にベアリング入り)
サウンドテーブルテニスの様子    専用ラケットと球(断面)


3. サウンドテニス
バウンドした時に音の鳴るスポンジボールを使用し、音を頼りにプレーする
テニスです。コートの広さはバトミントンコートと同じで、ラケットはスポンジテ
ニス用のものを使用します。全盲の人・弱視の人・晴眼の人が対戦するオー
プンゲームでは、それぞれにバウンド数や、打ち返す事のできるコートの広さ
が決められるなど、一緒に競い合うことのできるような工夫がなされています。
空間を弾むボールを捉えなければならない難しさはありますが、ボールを打ち
返す爽快感が魅力のスポーツです。


4. フロアバレーボール
ネットと床の間を通過させて相手側コートに球を打ち返す、平面でプレーする
バレーボールです。使用するボールやコートの広さなどは一般のバレーボール
と同じです。6人制で、前衛競技者は全盲・弱視・晴眼を問わずアイマスクの着
用が義務となります。
後衛競技者は弱視者か晴眼者となります。前衛は、相手コートからのボールを
ブロックしたり、味方からのパスを相手コートに打ち返したり(スパイク)します。
スパイクする際は、味方からのパスを一度、一方の手で押さえ、もう一方の手で
打ちます。後衛は、相手コートからのボールをレシーブしますが、前衛のように、
一方の手でボールを押さえることはできず、直接打ちます。

フロアバレーの様子1フロアバレーの様子2
フロアバレーボールの様子


5. グランドソフトボール
ソフトボールのルールを元に考案された、視覚障がい者の野球です。使用球は、
ハンドボールと似ていますが、中に鈴などは入っていません。全ての塁には走
塁と守備用の2種類のベースが置かれていており、野手とキャッチャーの衝突
を防止しています。全盲プレーヤーか弱視プレーヤーかによって若干ルールを
変更するなどの工夫があります。


6. ゴールボール
ゴールボールは第二次世界大戦で視力に障がいを受けた傷痍軍人のリハビリテ
ーションプログラムの一つとして始まりました。後に競技として発展し、現在では
パラリンピック正式種目として世界中に広まっています。1チーム3名のアイシェ
ード(目隠し)を装着したプレーヤーが、鈴入りのボールを転がるように投球しあ
って自陣のゴールを防御しながら相手ゴールを狙います。


7. スティックボール
ボーリングとゲートボールを掛けあわせて考案された新しいスポーツです。
鈴入りのバレーボールを打ち、7m先に並んだ10本のピンの倒した本数を競い
ます。ボールを打つ時は、アイマスクか手ぬぐいで目隠しをし、視力の有無によ
る有利不利をなくします。ボーリングに似たゲーム展開で、レクリエーション向きの
スポーツです。


スティックボールの様子


8. フリークライミング
フリークライミングは、安全確保のための用具(ロープなど)を使用したリード種
目と、クライミング専用シューズ・チョークなどの最低限の道具のみで登攀する
ボルダリング種目とに大別されます。自然の岩場を登る他、人工の岩を登る場
合もフリークライミングに含まれます。ライトセンターにはボルダリング専用のウ
ォールがあります。国体の種目として視覚障がい部門が設けられるなど、視覚障
がい者が取り組むスポーツとしては、ポピュラーな競技であると言えます。
晴眼者がサポートに入る場合は、次につかまるホールド(石)の位置・距離・形な
どを伝えます。
     




9. フライングディスク(アキュラシー)
全国障害者スポーツ大会の正式競技で、“すべての障がい者が同じ条件で競技す
る種目”として、注目されています。フライングディスク競技そのものには様々な
種類がありますが、全国障害者スポーツ大会正式競技としては、距離を競う「デ
ィスタンス」と、正確さを競う「アキュラシー」という2つの屋外競技があります。
丸い平皿を伏せた形をしたプラスティック製の円盤(ディスク)を、回転させながら
投げます。
アキュラシーで視覚障がい者が投げる際は、ゴールの後方で音源を出して中心を
教えることができます。“投げる”ことによる推進力と、“回転”により発生する“揚
力”を得たディスクは、フワ〜と浮き上がるように飛行していきます。ボールなどを
投げるのとは違う独特な“浮遊感覚”を味わうことができます。

フライングディスク(教室)の様子
フライングディスクの様子


以上に挙げたスポーツは一例です。この他にも、国際視覚障がい者スポーツ連盟や
日本障がい者スポーツ協会に公式競技として登録のある視覚障がい者のスポーツは、

20種目を超えます。




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